『みづゑ』434号(1941年1月)、437号(1941年4月)

2015.07.17 UP

『[連続講座]戦時下の美術家を〈読む〉』講師:小金沢智

会期:
2015.8.15 sat/8.22 sat
時間:
16:15 - 18:00 (16:00受付開始)

この度、gallery COEXIST-TOKYOでは、特別美術講座を開講することとなりました。第一回講座は、美術批評、美術史をご専門とされている小金沢智氏による『[連続講座]戦時下の美術家を〈読む〉』を行います。予約制ですので、参加を希望される方は、メールもしくは電話にてご予約ください。

『[連続講座]戦時下の美術家を〈読む〉』
講師:小金沢智

1945(昭和20)年8月のアジア・太平洋戦争敗戦から今年で70年。1982(昭和57)年生まれの私は当然ながらこの戦争体験をもたず、埋めようのない時間の隔たりは戦争との心理的距離も生んでいます。一方で近年、戦争体験の有無にかかわらず、日本の社会状況を「まるで戦前のようだ」と喩える声を耳にするようになりました。戦後70年が経ち私たちは、再び戦前ないし戦中へと足を踏み入れているのでしょうか? もしそうならば、そういった時勢の美術とは一体どのようなものでしょうか? 今の私にはそれにすぐさま答えることができません。

今回の連続講座は、戦前から戦後にかけて活躍したふたりの洋画家——松本竣介(1912-1948)と宮本三郎(1905-1974)が、それぞれの立場から著した戦時中の著作を読むというものです。松本竣介は、彼が「抵抗の画家」とも呼ばれる理由のひとつであるエッセイ「生きてゐる画家」(『みづゑ』437号、1941年4月)を。これは、陸軍省情報部員の秋山邦雄少佐、鈴木庫三少佐、黒田仙吉郎中尉、そして批評家の荒城季夫、編集部の上郡卓による座談会「国防国家と美術―画家は何をなすべきか―」(『みづゑ』434号、1941年1月)に対する反論として、国家に与せず個人の制作を戦時でなお続けることの意義を説いたものでした。一方、従軍画家として腕をふるった宮本三郎は、戦争画や従軍先でのスケッチ、エッセイをまとめた初画集『南方従軍画集』(陸軍美術協会出版部、1943年9月)を戦時中刊行しました。画家としてのふるまいや置かれた状況を考えたとき、さながら画家の自由を求めた松本竣介と絵筆で国に尽くした宮本三郎は、いかにも対照的かもしれません。しかし、『南方従軍画集』の巻末におさめられた自叙伝は、宮本が戦時にその死を意識して生涯を振り返ったもののようにも見え、戦争は等しく死を人の近くに呼び寄せていたのではなかったかと想像します。

この講座は、戦争と美術について、明確で統一的な結論を出すことを目的としていません。70年前の戦争と美術に関する立場や見解の複数性を、ふたりの著作のリーディングを中心にして、ただただ知ろうと試みること。まずそこからはじめることが、遠く70年が経った現在の私たちの頭や手や足を、ときほぐし、より具体的に動かすことになるのではないかと思うからです。

(1)松本竣介「生きてゐる画家」を中心に756第1回テキスト
8月15日(土)16:15〜18:00 ※16:00〜受付
参加費1,600円(ワンドリンク付き/資料代込み)
定員30名 ※予約制
[画像右]第1回テキスト:『みづゑ』434号(1941年1月)、437号(1941年4月)

(2)宮本三郎『南方従軍画集』を中心に756第2回テキスト
8月22日(土)16:15〜18:00 16:00〜受付
参加費1,600円(ワンドリンク付き/資料代込み)
定員30名 ※予約制
[画像右]第2回テキスト:『宮本三郎南方従軍画集』(1943年9月)

 

【ご予約方法】
・ 《メールから》 info@coexist-tokyo.com宛。件名は〈小金沢智講座参加希望〉とし、希望する講座名と日付、参加希望者の氏名(複数の場合は全員の氏名)を明記してください。
・ 《電話から》 03-5809-9949 (11時〜19時/月曜休廊)

【講師略歴】

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1982年、群馬県生まれ。明治学院大学大学院文学研究科芸術学専攻博士前期課程修了。専門は日本近現代美術史。ギャラリーに勤めたのち、世田谷美術館非常勤学芸員として主に分館 宮本三郎記念美術館を担当、展覧会や教育普及事業を企画する(2010年7月〜2015年3月)。また、「生誕100年 松本竣介展」(世田谷美術館、2012年)副担当。現在は明治学院大学文学部芸術学科、武蔵野美術大学通信教育課程で非常勤講師。